2008.4.21
No. 08-001
マルチボディ解析のための数値積分法の基礎と応用
- MATLABプログラムを用いた演習付き -
開催日 2008年9月3日(水)~4日(木)
会 場 ゆうぽうと:5F研修室「くれない」
www.u-port.kanponoyado.japanpost.jp/access/index.html
東京都品川区西五反田8-4-13
・東急池上線大崎広小路駅徒歩約1分 ・都営地下鉄・JR五反田駅西口徒歩約5分
開催趣旨
本講習会では,時刻歴応答解析のための数値積分法を講義します.
建築構造物の耐震設計や自動車,列車,産業機械,建設機械,ロボット,宇宙構造物など各種機械構造物の設計では振動解析が欠かせません.さらに最近では機械の動作を設計段階で予測・確認する技術として,多体系にモデル化された機械構造系を駆動系や制御系とも連動して解析するマルチボディ解析がよく行われるようになってきました.このような振動工学やマルチボディダイナミクスでは系を多体モデルで表現し,外力や駆動力に対する応答を数値解析によって求めることになります.つり合い式は常微分方程式(ODE)あるいは微分代数方程式(DAE)で表わされるので時刻歴応答解析には数値積分が必要になります.
数値積分法には種々の方法がありますが,それぞれに特徴や欠点があるため問題に応じて適切な手法を選択または適切なパラメータを用いないと,解が発散する,誤差が蓄積する,計算時間が大幅にかかる,などの支障が生じます.そのため解析担当者は使用する積分法の原理や特徴をよく理解しておく必要があります.
そこで,今回の講習会では振動やマルチボディ解析のための数値積分法に焦点を当て,テーマに取り上げました.第1日目は,一般に知られている多くの数値積分法について,その原理を紹介し,それらの性能評価法,特徴の抽出,適用技術をMATLABによる演習も併用して学習します.第2日目は汎用積分器の解説とマルチボディ解析への応用を主に取り上げます.はじめに拘束条件が付加されたDAE問題の導出や取り扱い方を解説し,次いでDAE向き積分解法について紹介します.汎用プログラムでは種々の技法たとえばステップごとの誤差評価,時間ステップや次数の自動調節,収束計算などが組み込まれており,これらの考え方や仕組みを理解することが適切な条件設定や計算の効率化につながります.そこで,汎用コードDASSLやMATLABで装備されている解法の特徴や使用法をデモあるいは演習を交えて学習します.最後にRECURDYN,ADAMSなど汎用DAE解析ソフトによる標準問題の解析紹介や比較も行います.
以上のように,本講習では数値積分法の基礎を解説するとともに汎用コードに用いられている手法の特徴や使用留意点を提示し,初級者からMATLAB等でプログラム作成して解析する者,さらに,汎用コードを利用して解析する実務者まで広く役立つ内容を提供したいと考えています.
題目・講師
第一日目 (休み時間は授業中に適宜とります)
10:00~11:00 講師 清水 信行 (いわき明星大学)
動力学問題における数値積分解法の役割・必要性,研究の歴史,世界の動向など
11:00~12:30 講師 藤川 猛 (芦屋大学)
各種の数値積分法の原理と分類,特徴,基本性能(精度と安定性)などの概観
13:30~15:00 講師 曽我部 潔 (上智大学)
数値積分法の特性評価法,代表的積分解法の性能線図,時間刻みの選定法,数値減衰
15:00~16:30 講師 藤川 猛
代表的数値積分法(Euler法,RK法,BDF(Gear)法,Newmark法など)のプログラム説明
MATLAB演習による積分法のプログラム内容と性能確認
16:30~18:00 講師 藤川 猛
ODE形の例題を通じた,多質点系非線形振動・運動方程式の導出と積分法の適用,MATLABによる演習
例題:滑らかな非線形系,断片線形系,非線形質量系などODE形の問題
第二日目 (休み時間は授業中に適宜とります)
9:00~10:30 講師 清水 信行
多体動力学系のDAE問題とその解法インデックスの考え方,拡大法,射影法, ペナルティ法など各種扱い
10:30~12:00 講師 清水 信行
振動問題と多体動力学系問題(ODEとDAEの相違,難易度など)
多体動力学系のDAE向き数値積分法(BDF,IRK,ADAMS-MOULTONなど)
13:00~14:30 講師 藤川 猛,曽我部 潔
汎用・実用ソフトの機能,性能,使用法など,MATLABによる演習
(1)汎用ソフトで使用されている解法
Kutta-Merson法 DASSL法,(BDF法,Gear法) G-Alpha法,HHT法,Newmarkβ法
(2)MATLABで使用されている解法
ODE45, ODE23, ODE113, ODE15S, ODE23Sなど
14:30~16:30 講師 曽我部 潔,清水 信行
(1)各種ソフトによる標準問題の解析と評価
DADS,ADAMS,RECURDYN,Working Model Motion,SINDYS
(2) RECURDYNによる解析事例
16:30~17:00
討議,質問
講義
講義の合間に適宜,休憩を取ります.
受講生は各自ノートパソコンを持参して参加してください.
講習会では各自MATLABの評価版(version 6以上,こちらで準備)をインストールしていただき,実習いたします.
一日目の講義終了後は講師との交流,質問ができます.
参加条件
講義の内容に満足していただくためには,次の条件を前提としています.
(1)動的問題の時刻歴応答解析の経験のある方,関心のある方
(2)大学基礎教養程度の数学(行列,微分方程式)の知識のある方
(3)Matlabを少でも使った経験のある方
もちろん上記条件が一部満たしていない方も、受講は可能ですが、理解度が多少下がることが予想されます.ご心配な方は清水まで、お気軽にご相談下さい。
定員 35名 (申込み先着順により,定員になりましたら締め切ります)
聴講料 56,000円 (学生20,000円)
聴講料は開催日の2週間前までに着金するようにご送金願います.
なお,聴講料入金後の取り消しのお申し出には応じられませんので,ご注意願います.
教材
下記の本を使用します.受講者は各自,購入して講習会に参加してください.
コンピュータダイナミックシリーズ1 「数値積分法の基礎と応用」(日本機械学会編,2003年 コロナ社)
申込方法
申込者1名につき,講習会申込書(添付ファイルのFAX用紙をお使い下さい) 1枚に必要事項を
記入して,FAX (0246-28-5548)でお申し込みください.
主催・連絡先
主 催:㈱モーションラボ https://motionlabo.com
連絡先:問合せは下記にお願いします.
清水信行(いわき明星大学)
Tel : 0246-29-7183, E-mail :nshim@iwakimu.ac.jp,
第3回講習会案内・補足説明
2008.4.21
No. 08-001
マルチボディ解析のための数値積分法の基礎と応用– MATLABプログラムを用いた演習付き–
題目・講師
第一日目 (休み時間は授業中に適宜とります)
10:00~11:00 講師 清水 信行 (いわき明星大学)
本セミナーの導入として,構造振動およびマルチボディダイナミクス分野の数値解析研究の歴史や動向(含ACMD08)を報告し,機械設計や動力学解析における数値積分技術の役割,応用事例,課題などを紹介します.
11:00~12:30 講師 藤川 猛 (芦屋大学)
微分方程式の数値積分解法には多くの方法が知られています.これらに求められる要件を述べ,各種解法を分類し,それぞれの原理と特徴を紹介します.さらに各解法について調べた精度と安定性に関する性能比較を示します.数値積分法の全体像を概観し,振動やマルチボディ解析に適した解法を把握するのが目的です.
13:30~15:00 講師 曽我部 潔 (上智大学)
数値積分法の精度や安定性を調べる特性評価法として自由振動解の特性評価および外力に対する応答の具体的な性能評価方法を解説します.これに基づいて調べた代表的解法の性能を線図で表示し,適切な時間刻み幅の設定方法を示します.
15:00~16:30 講師 藤川 猛
MATLABで作成した代表的数値積分法(Euler法,RK法,BDF(Gear)法,Newmark法など)のプログラムを用意し,そのアルゴリズムを説明するとともに,例題演習によって積分法の適用法や性能を体験していただきます.前述講義内容の理解を深めることが目的ですがMATLABプログラムを持ち帰って利用することもできます.
16:30~18:00 講師 藤川 猛
2階の常微分形方程式(ODE)で表される多質点系の非線形振動・運動問題を取り上げ,主にニューマーク法による応答解析法を示します.典型的ないくつかの問題に対して運動方程式の導出から数値積分法の適用までのプロセスを具体的に示し,解析方法の実際を学習します.問題としては滑らかな非線形系,断片線形系,非線形質量系などを考えます.
第二日目 (休み時間は授業中に適宜とります)
9:00~10:30 講師 清水 信行
マルチボディダイナミクスでは物体の動きが大きく、また一般に拘束条件が伴うので釣合い式は非線形の微分代数方程式(DAE)になります.このようなDAE問題とその解法,すなわち,拡大法,射影法,ペナルティ法など各種扱いを解説します。またDAE問題で重要なインデックスの考え方についてもわかりやすく説明します.
10:30~12:00 講師 清水 信行
マルチボディの解析で使用する数値積分法は,基本は共通ながら振動問題とはまた別の性能が求められます.ここでは振動解析とマルチボディ解析の特徴や要求性能を分析し,マルチボディ解析によく利用されている数値積分法について解説します.
13:00~14:30 講師 藤川 猛
汎用的に利用される数値積分法では,誤差管理,刻み時間の自動調整,求解プロセス,など種々の技法が組み込まれています.ここでは以下の実用ソフトで使用されているこれらの技法を紹介し,パラメータ設定などの使い方を説明します.MATLABによる演習も行います.
(1)汎用ソフトで使用されている解法
Kutta-Merson法
DASSL法,(BDF法,Gear法)
G-Alpha法,HHT法,Newmarkβ法
(2)MATLABで使用されている解法
ODE45, ODE23, ODE113, ODE15S, ODE23Sなど
14:30~16:30 曽我部 潔,清水 信行
汎用ソフトによる解析事例を紹介し,それに基づいた考察や所感を報告します.
(1) 4リンク解析事例
マルチボディ研究会で設定された4リンクモデルに対して,次のソフトで解析した研究報告があり,この結果を紹介します.
DADS,ADAMS,RECURDYN,Working Model Motion,SINDYS
(2) RECURDYNによる解析事例
汎用ソフトRECURDYNによるリンク系モデルの解析例を報告し,積分解法を取り替えた場合や積分パラメータを変えた場合の結果を示します.
16:30~17:00
討議,質問
・講義の合間に適宜、休憩時間をとります.
・受講者は全員ノートパソコンを持参して参加していただきます.
・講義にはテキスト;コロナ社出版の「数値積分法の基礎と応用」,を使用します。
受講者は各自、必ずこれらを持参して参加していただくことが前提です。
・MATLABの評価版はサイバネット㈱から期間限定で貸与していただく予定です。
受講者はノートパソコンを持参して参加していただくことになります。
MATLABソフトは講習会の当日、 会場でインストールしていただきます.
・受講条件;以下の条件を満たされていることを前提として、講習を行います.
(1) 動的問題の時刻歴応答解析の経験のある方、関心のある方.
(2) 大学基礎教養課程程度の数学(行列、微分方程式)知識のある方.
(3) MATLABを多少でも使った経験のある方.
もちろん上記条件が一部満たしていない方も、受講は可能ですが、理解度が多少下がることが予想されます.ご心配な方は清水まで、お気軽にご相談下さい。
問合せ先Tel : 0246-29-7183 / E-mail :nshim@iwakimu.ac.jp 清水 信行