今月の9月11日で大震災から半年が経つ。大学の私の部屋で粘弾性体の研究会をやっていたときのあの恐怖を思い出す。とにかく長く激しい揺れであった。何かただならぬことが起こっている予感がしたが、この地震が引き金となって大津波が発生し、原子力発電所を壊滅的にするとは思っても見なかった。あれから復旧・復興が叫ばれ、菅内閣は空回りしながらも声高に復旧・復興のオウム返しを叫んでいた。あっという間にこの内閣も倒れ、野田内閣が発足した。原発事故、復旧・復興の遅れは、大地震や津波の災害とは違い明らかに人災である。日本人の弱点が曝け出された出来事がこの半年に凝縮した。都合の悪い意見を黙殺し力で抑え込む姿勢、危機に対する考え方の甘さ、非常時にあっても己の政党や己のことしか考えられない政治家や官僚、本当に残念である。戦後のここ60年の教育は右肩上がりの景気の中で、大事なことをどこかになくしてしまったのではなかろうか。日本を救うために野田内閣には強い政治指導を期待したい。我々には困難を克服し自分たちを見直し良い社会を創るきっかけにしたい。 (清水信行)